世間を席巻しているプロダクトに関しての独り言。
去る11月13日、9年ぶりに復活した『UNIQLO+J』。これは凄い。何が凄いって、カシミア混の¥24,900のコートがネットオークションで10万円になっていた。え、凄くね……? 電子マネー各社があの手この手で30%ポイント還元してる中、新品の状態で手放せば還元率400%越え。これを凄いと言わずに何と言うのか。本記事ではこのプロダクトについて、俺が個人的に思ったことを綴っていく。多少偏った発言があると思うが独り言なので許して欲しい。ちなみに、俺がなぜこんなに斜に構えて世の中を見るようになったのかと言うと。生まれた時に分娩室のベッドが壊れてたそうだ。で、赤ちゃん用ベッドに移される瞬間、リクライニングが勝手に動いて滑り落ち、しばらく斜めに吊るされてるみたいな状態だったらしいんだよね。たぶんこれが原因だと思う。あ、もちろん嘘です。戯言はここまでにして本筋に触れていきますね。
+Jとは
ファッションに少し詳しい人だったら『ジルサンダー』については既に知っていると思うが、本記事を書くにあたって外せない要素なので、少しだけ触れておこう。まず、『UNIQLO+J』における”J”とはブランド『ジルサンダー』のことではない。元『ジルサンダー』デザイナーのジルサンダー氏(ドイツ人の女性、仇名は「鉄の女」)のことである。それの何が違うのかって? いやいや、そう思ったんだったら良かったな、この記事読んで。これを知ってるかどうかで、本コラボに対する見方は随分と変わってくる。
少し歴史の話をしよう。言わずと知れたハイブランド『ジルサンダー』についてだ。その過去をエクストリームに要約すると、荒野行動のダウンロードコンテンツみたいな前衛的なファッションが良いとされるパリコレクションにおいて、シンプルなデザインで孤軍奮闘し、ミラノコレクションに移籍。温故知新を良しとする土地柄にマッチして株価上昇。しかしその後、90年代にプラダグループに買収……という、文字にすると暗い過去を持つ。だが面白いのはここから、当時デザイナーであるジルサンダー氏は買収された後に親会社からコスト削減を求められ、喧嘩してデザイナーを退任。2009年に我らが日本が誇るUNIQLOと契約を結ぶ。つまり、ジルサンダー氏は『ジルサンダー』というブランドには今は所属していない。『UNIQLO+J』とは『UNIQLO』と『ジルサンダー』のコラボではなく、ジルサンダー氏個人と契約を結んだ『UNIQLO』の別ラインということになる。
プラダグループを一蹴したジルサンダー氏が、大量生産の代名詞UNIQLOと蜜月関係を結ぶというスキャンダル。これを機にUNIQLOはファッション関係者も一目置く存在へと大きく前進した。素材に対するこだわりで世界的大企業を見限った人を迎えることで、自分たちのクリエイティブを飛躍的に上昇させ、2009年当時の日本で大ヒット。「UNIQLOって安いけどデザインがね……」という風潮のあった価値観が引っくり返るきっかけとなり、開店前に行列を作る異例の事態を生み出した。それから5シーズンほど販売を続け、しばらく音沙汰が無かったが今回9年ぶりに満を持して発売、って感じ。ここまで読んでくれれば『UNIQLO+J』のファッション史における重要性の一端を感じ取れたと思う。ぶっちゃけ、ブランドタグが付いただけの無価値ファッションに興味が無い俺でも今回はちょっぴり食指が動いた。下記では実際に俺が見て、着て、凄いと思った点を羅列しよう。
シルエットが凄い
形がめっちゃ綺麗。全体的に今っぽいオーバーサイズなのも◎だし、誰にでも合うと思う。特にチェスターコート。「中々探すとこのサイズ感って無いんだよな~」ってツボを見事に突いてくれた。ドロップショルダーまでいっちゃうと子供っぽいんだけど、ピッタリ過ぎると堅い印象だし……っていう中間。GOODです。ただ10万で転売されてるのは異常。親の形見でも競ってるんか? 目を覚ませ、10万あれば洗濯機が買えるぞ。ただ、まぁ、社会的にはそれだけの価値が足されるくらい秀逸なデザインってことなんだろう。凄いと思う。
素材が凄い
ウールにはカシミア使ってたり、アウター類はところどころ止水ジップの絶妙な光沢感が高級感演出してくれるから良いと思う。ただ、全体的にモードチックな様相なのに対して、どことなく裏地やボタンの雰囲気が若干コンサバな気がする。せっかくパッと見が綺麗なんだから細部まで貫いて欲しかったと思ってしまうのは、俺が天邪鬼だからなんだろうか。とは言え、テーラードジャケットとかは袖のボタンが重ね縫いされていたり、流石ジルサンダー氏と言わざるを得ない凄ポイントもある。あと、ハイブリッドダウンも良いよね。暖かいのにもっさりしないところは企業努力(まぁ俺は一生ダウン着ないって決めてるけど。え、だってダサいじゃん)。
防寒性が凄い
これは上記と少し被るけど、とにかく素材の機能性が良いんだよね。コートに用いられているのは厚手のウールだし、ダウンも触っただけでは想像できないくらいの防寒・防風機能を有している。このプロダクトのアウター一つ持ってれば、東北までフラッと旅行に行っても全然大丈夫なんじゃないかな。ホラー好きの俺としてはぜひ恐山に行って東京の三密とルヴォワールしたいね。ただ、一個だけどうしても突っ込みたいんだけどさ。発表されたルックだと外人モデルがダウンコートの上にウールコートを軽やかに着用していて、めちゃくちゃ格好良いんだけど、お前アラスカでも行くんか? ステイジャパン。
まとめ
あまり長く書くと胃もたれしそうだから今回はこんな感じで終わります。なんか色々と凶弾されそうなことを書いた気もするが独り言だからセーフ。ここまで書いた後だから時すでに遅しだけど。真面目にコメントすると、ファッション好きにとっては即戦力なアイテム多いし日本ファッションの歴史的に大きな価値を内包しているので、奇跡的に店頭で売れ残りを見つけたら迷わず買うことをオススメします。UNIQLO大好き。